左利きは、世知辛い
はじめまして。
はじめてのブログで何を書いていいのか、わかりませんが、何かしら書いてみようと思います。
ここに書くことは私にとっておそらく、ピアノに向かい、楽譜なしに赴くままに鍵盤をたたくようなものです。ピアノなんて弾いたことないので、大部分が、メロディーにもならない単発的な音の連続になると思います。ましてや、私には音感なんてちっともないので、どれが「ド」なのか、どれが「ソ」なのかさっぱりです。ですから、この先も「レ」のつもりで「ミ」の音を出すかもしれないし、「シ」のつもりで「ファ」の鍵盤をたたくかもしれません。また、興味本位で、「ド」と「ラ」を同時にたたくことも、足元のでっぱりを踏みつけてみることもすると思います。その結果として、聞き手に聞き苦しい音をお届けすることになると思います。聞いて下さる人がいれば、の話ですが。
それでも、どこかには心地よい瞬間が待っていると私は思います。この音がよかった、とか、あの音のタイミングが絶妙だった、とか。それは、偶然訪れるものなのか、それとも意識的に引き寄せる必要があるのか、作曲家でもない私には当然わかりません。
しかし私の音が、ちょっとしたリズムをもち、メロディーへの兆しを感じさせる瞬間を、聞いている人に少しでも多く届けることができたら幸いです(それがどのくらいの頻度になるのかは、私自身わかりませんが)。
心地よいリズムと、おいしいお酒。夕食にはタラコとキノコのパスタ。さらにおつまみで、サキイカ。素晴らしい夜をつれてくる心の準備は万端。
瞳を閉じて、いざ鍵盤に指を伸ばす。「ド」をたたいたつもりだが、音はない。続けてそのとなりをたたいてみても、音がしない。ため息一つしてから、缶ビールを開ける。良く冷えたビールをぐっと喉に通す。ぎゅうっと締め付けられるように少しばかり喉が苦しくなる。それでも次の瞬間には快感がやってくる。サキイカを噛みながら、窓の外を見る。山のすぐ上に月が丸く輝いている。星もちらちらと光り、隣室より虫の声が騒がしい。パスタは少し味付けが濃い。
これでもなかなかいいんだけれど、何かたりない、そんな夜。
これでピアノが鳴ってくれればな、と鍵盤に肘をつく。ポロリンッと、突如として室内に響く。
あれま、鳴るじゃない。……でも、何を弾いたらいいのかしらん。
、といった風にここまで婉曲的な私は、左利きです。
左利きってこんなんですか? それとも私だけですか?